矯正治療適齢期は? 年齢に合わせた矯正治療 こどもの矯正 成人の矯正
矯正治療・歯列矯正に適した年齢とは?
矯正治療・歯列矯正は子供の頃に行う治療というイメージを持っている方もいらっしゃるかと思いますが、実は、矯正治療・歯列矯正には年齢制限はありません。厚労省の調査では、矯正治療・歯列矯正を受けた患者さんの推計のうち、19歳以下が約70%、20歳以上が約30%という結果が発表されています。さらに成人では、20~40代が約80%、50~70代が約20%となっています。このように現在、幅広い年齢層の方が矯正治療・歯列矯正を受けています。
ただ、長い間不正咬合を放置していたり、むし歯や、歯周病などに罹っている割合も年齢と共に増加しますので、治療計画が複雑になったり、治療期間が長くなるといったことは考えられます。(矯正治療・歯列矯正は、顎の歯を支える骨の吸収と再生という自然治癒能力を利用した治療という側面があるため、年齢が高くなるほど、加齢により新陳代謝が低下していることをによって、治療期間は子供よりも長くなることが多くなります。)
いずれにせよ、矯正治療・歯列矯正に適した年齢は、若ければ若いほど適しているといえますが、これといった年齢制限はないのです。
年齢・ステージに合わせた矯正治療・歯列矯正
矯正治療・歯列矯正は、「乳歯列期」「混合歯列期(1期治療・2期治療)」「永久歯列期(成長期の治療・成人の治療)」それぞれの時期に合わせ、適切な治療を選択する必要があります。
こどもの矯正治療・歯列矯正
こどもの矯正治療・歯列矯正では、「予防矯正(乳歯列期)」「1期治療(混合歯列期)」「2期治療(混合歯列期~永久歯列期)」があります。
「乳歯列期」の矯正治療・歯列矯正
『予防矯正』 ・・・ 3歳頃に開始する「乳歯列期」の予防的治療
聞きなれないかも知れませんが、ここでは子供の「予防矯正」についてご説明させて頂きます。
3歳頃になって乳歯が生え揃った頃、それに合わせて自然に舌や口の周りの筋肉の使い方が変化します。指しゃぶりや、下で歯を押すなどの口腔習慣が残っていると、歯並びや口元の形などに影響が出てしまう場合があります。
舌や口の周りの筋肉のバランスを整えることで、大人の歯(永久歯)への健康的で正常な生え変わりを補助します。
予防矯正では、舌や口の周りの筋肉を使う練習を、ご自宅で毎日5分程度行って頂いたり、マウスピースのような形の取り外しできる装置(ムーンシールド、ムーアプライアンス、プレオルソ、マルチファミリーなど)を、必要に応じてご自宅で使用します。
「混合歯列期」の矯正治療・歯列矯正
『1期治療』 ・・・ 6~12歳頃の「混合歯列期」に開始する治療(多くのメリットがある)
「1期治療」は、6歳頃~12歳頃の「混合歯列期(乳歯と永久歯の両方が混ざって生えている生え変わりの時期)」に行う治療です。専用の矯正装置を使用し、歯を並べるためのスペースを確保し、その後の、歯をキレイに並べるための「2期治療」に移行するための下地を作るといった意味合いのある治療です。上顎と下顎のバランスを調整したり、歯を並べるためのスペースを確保したり、前歯の並びを調整したりもします。
また、この時期の治療では、成長期になるため、下顎前突(受け口)や上顎前突(出っ歯)、あごの曲りなどで顔貌に影響が出たりしないよう、顎の骨が成長する力を利用して、上下のあごの骨のバランスを整えていくことが可能ですので、将来的に顎の骨に対する手術などを行うリスクを避けることにもつながります。また、この時期に、歯の並ぶスペースをしっかり確保することで、2期治療に移行しても抜歯の必要がなくなったりといったことも期待できる治療です。
「永久歯列期(成長期)」の矯正治療・歯列矯正
『2期治療』 ・・・ 1期治療の後に開始(12歳くらいから)
乳歯が全て永久歯に生え変わってから「2期治療」を行います。混合歯列期の1期治療が終了して、一定期間、経過観察をします。その後、12歳くらいから必要に応じて2期治療を行います。2期治療では、永久歯をキレイに並べて、歯列を整え、正しい咬み合わせを作ります。
12歳~18歳くらいまでの間は、まだ成長期であるため、顎の骨の成長もまだ期待でき、骨格にも良い結果を出すことが期待できる期間でもあります。基本的に「マルチブラケット」と呼ばれる、矯正装置を使用します。
成人の矯正治療・歯列矯正
最近では、大人になってから矯正治療を受ける方が増えていますが、こどもの矯正治療と、成人してからの矯正治療では、何が違うのでしょうか。
最も大きな違いは、「成長期かどうかの違い」といえます。成長期では、通常、成人してからでは改善できない骨格の不正などを、顎の骨や顎顔面領域の骨が成長する力を利用して、整えていくことが可能です。
一方、成長が止まっている大人の場合には、顎の大きさも完成していて成長はしないため、現状をベースとした治療を行います。そのため、必要に応じて、歯を抜いてそのスペースを埋めるようにキレイに並び替えるなどの手法を取るケースもあります。
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